女性が社会進出する機会が増えた現在では、男性と同じように活躍する女性労働者も多くなりました。
子育て世代でも働けるような制度が徐々に整えられ、給与面や待遇面なども改善されつつあります。
しかし職場で起こるセクハラ・パワハラといった問題は一向に減りません。
女性が働ける環境が増えた分、被害を訴える声も比例するように増加しています。
そもそもセクハラやパワハラは立派な人権侵害であり、女性だけではなく男性も被害者になり得ます。
「仕事だから」「人間関係が悪くなるから」と我慢せず、安心して働けるよう適切に対処することが大切です。
もし職場でセクハラやパワハラを受けてしまったらどうすれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
ハラスメントの定義とは
ハラスメントとは、嫌がらせや迷惑行為という意味を持つ言葉です。
職場で起こるハラスメントの定義は、立場を利用した業務上必要ない言動により、労働者の就業環境を害することとされています。
「ただ単に指導を受けているだけかもしれない」
「他の人はそれほど気にしていないのかも…」
というように、ハラスメントを受けているか分からないという人も多いでしょう。
そこで職場で起こりやすいハラスメントをより具体的に解説していきます。
事例も一緒に紹介するので、自分自身に当てはめて考えてみましょう。
セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)
性的な内容の発言、または性的な行動により不利益を被るセクハラ。
大きく分けると対価型・環境型があります。
■対価型
└昇給や昇進を条件に性的関係を求められる
└性的要求を断ったら降格・解雇される
└立場的に断れない状況で性的関係を強要される
■環境型
└胸や尻、肩を触られる/抱きつかれる
└下ネタを言われる/容姿を中傷される/性に関する価値観を押し付けられる
└抗議しても性的な画像、雑誌、ポスターなどを見える位置に置かれる など
マタハラ(マタニティ・ハラスメント)
近年問題視されているのが、妊娠や出産した女性、またはその家族に対するハラスメントです。
被害者が女性か男性かによって、マタハラもしくはパタハラと呼ばれます。
■マタハラ(女性)
└上司に妊娠を報告したら暴言を吐かれる
└育児休暇を申請したら嫌味を言われる
└妊娠・出産を理由に契約を打ち切られる
└業務内容の変更を申し出たら断られる
■パタハラ(男性)
└育児休暇を申請したら嫌味を言われる
└育児休暇を申請したら転勤や出向、降格を命じられる
パワハラ(パワー・ハラスメント)
パワハラは、仕事上必要な範囲を超えて行なわれる指示・命令・干渉や、身体的または精神的な攻撃が挙げられます。
仕事のミスに対する叱責などではなく、明らかにその範疇ではない暴言などもパワハラに該当します。
■暴行、傷害
└突き飛ばされる/書類や筆記用具などを投げつけられる など
■脅迫、名誉毀損、侮辱、怒鳴る
└理不尽に激しい叱責を受ける/他の社員の前で罵倒される
■仲間はずれ、無視
└職場の食事会や飲み会に呼ばれない/挨拶を返されない
■明らかに不可能な要求
└確実に達成できないノルマを課せられる/終わらない量の仕事を押し付けられる
■合理性なく仕事を与えない
└雑務ばかりやらされる/能力に見合う仕事を任せてもらえない
■プライバシーへの立ち入り
└スマホを覗かれる/プライベートのことをしつこく聞かれる
被害を受けたらすべきこと
正社員だけではなく、パート・アルバイトであってもハラスメント被害を我慢する必要は一切ありません。
身体的・精神的な苦痛を感じたまま働くのはとても苦しく、つらいもの。
立場上どうしても強く訴えられないという場合であっても、適切な対処法を知っていれば安心です。
証拠として被害内容を記録しよう
第三者に相談するにしても、まずは証拠集めが大切です。
ボイスレコーダーなどで音声を録音したり、メールやSNSのスクリーンショットを撮影したりと、受けた被害を残すようにしましょう。
また誰に何をされたのか、内容を書き記す方法もアリ。
ハラスメントを受けたときの状況を詳しく書き出しておくと後々役立ちます。
身近な人に相談しよう
ハラスメント被害を受けるとストレスや疲労により、正しい判断ができなくなっている可能性があります。
家族または友人、もしくは信頼できる同僚や上司に相談しましょう。
専用窓口に相談しよう
大きな企業であれば総務・人事といった部署にハラスメント相談窓口を設置しています。
コンプライアンスが厳しくなっている現在では、一昔前に比べて多くの企業でハラスメント対策が行なわれているのです。
もし働いている会社にそういった窓口がないのであれば、労働局や労働基準監督署などの外部機関に相談することも可能です。
退職や法的措置も視野に入れるべき?
簡単には改善が見込めないという場合は、職場から離れるのも1つの手段。
ただ、不当な扱いを受けたにも関わらず辞職するのは不本意でしょう。
裁判など法的措置を検討するのも悪くありません。
実際にハラスメント行為を行なった人物だけではなく、環境改善を怠った企業にも損害賠償を求められます。
とはいえ裁判を起こす側にもリスクがあるため、法的措置は最終手段だと言えるでしょう。
確実に勝てるという保証はありませんし、費用も時間もかかることを覚悟しなくてはいけません。
もしも法的措置を考えるのであれば、被害の証拠をしっかり集めておくことが大切になります。
「働きやすい環境」を求めることは何も悪くない!
コミュニケーションが必要な職務では、人間関係がとても重要。
そのなかでハラスメント問題が起きると仕事に影響が出てしまいます。
「相手はかなり上の立場だから抵抗できない」
「反発したらクビになるかも…」
「我慢していれば済む」
というように泣き寝入りせず、状況を変えるために動く勇気を持ちましょう。
しかし一人でできることには限度があります。
相談できる人が身の回りに居ないのであれば、専門機関に助けを求めましょう。
安心して働ける環境を求めるのは、何も悪いことではありません。
まずは自分が置かれている状況を整理し、落ち着いて適切な対処を心がけてください。