正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態の違いを知っていますか?
「給料が違う」「働く時間が違う」というイメージはつきやすいでしょうが、実はほかにも様々な違いがあります。
この記事ではそれぞれの雇用形態について詳しく解説していきます。
今さら聞けない働き方の違いを比較してみましょう!
雇用形態の種類と違い
企業の求人情報を見ると、募集要項に雇用形態という項目があります。
雇用形態とは企業と従業員が結ぶ雇用契約の種類のことです。
主な分類としては正社員、契約社員、パート・アルバイト、そして派遣社員の4つ。
大きな違いは雇用の区分です。
雇用形態 | 区分 | |
正社員 | 正規雇用 | 直接雇用 |
契約社員 | 非正規雇用 | |
パート・アルバイト | ||
派遣社員 | 間接雇用 |
正社員以外は有期雇用(雇用の期限を設けた契約)です。
しかし平成25年に労働契約法が改定され、雇用期間の更新を繰り返して通算5年を超えた場合、有期雇用から無期雇用への切り替えが可能になりました。
正社員とは
給与形態 | 月給・年俸制 | |
社会保険 | 労働災害保険 | あり |
雇用保険 | あり | |
健康保険 | あり | |
厚生年金 | あり |
正社員は会社に直接雇用され、なおかつ労働契約に期限がありません。
世間で「正社員=安定」と認識されているのはこのためです。
基本的に月給制で、ほとんどの企業で年に1~2回のボーナスを得られます。
福利厚生も充実しており、社会的信用度が高いのも魅力です。
契約社員とは
給与形態 | 月給・日給制 | |
社会保険 | 労働災害保険 | あり |
雇用保険 | あり | |
健康保険 | あり | |
厚生年金 | あり |
直接雇用ではあるものの、労働契約に期限が設けられている契約社員。
フルタイムであり仕事内容などは正社員と変わりません。
企業によっては契約社員からの正社員登用も可能です。
パート・アルバイトとは
給与形態 | 時給制 | |
社会保険 | 労働災害保険 | あり |
雇用保険 | 条件を満たせばあり | |
健康保険 | 条件を満たせばあり | |
厚生年金 | なし |
パートとアルバイトは呼び方に違いはありますが、いずれもパートタイム労働者(短時間労働者)に該当します。
正社員や契約社員に比べると働く時間は短いものの、月々の勤務時間などの条件を満たしていれば、パート・アルバイトであっても社会保険の対象になります。
派遣社員とは
給与形態 | 時給制(交通費込み) | |
社会保険 | 労働災害保険 | 条件を満たせば派遣会社で加入 |
雇用保険 | ||
健康保険 | ||
厚生年金 |
派遣社員は、派遣会社を介して間接的に雇用されます。
そのため基本は派遣会社で社会保険に加入しますが、勤務時間によっては対象外となってしまうことも。
正社員や契約社員と同じような仕事内容を任されることもありますが、同派遣先で働ける期間は3年間(3年ルール)。
ずっと同じ部署で働けるわけではないため注意が必要です。
法律の改定で雇用形態の格差がなくなる?
非正規雇用である契約社員やパート・アルバイトの給与は、正規雇用である正社員に比べて低く、待遇面でも大きな違いがありました。
しかし近年、正規雇用と非正規雇用の格差をなくそうという動きが活発化しています。
同一労働同一賃金
2020年4月には大企業を対象にした同一労働同一賃金が施行されました。
同企業で同様の業務を任されている場合、雇用形態に関わらず給与を一定にするというルールです。
中小企業では2021年4月から施行されます。
能力に応じた給与が貰えるようになり、労働者は給与や待遇について企業に説明を求められるようになりました。
無期転換ルール
通常、正社員以外は労働契約に期限が設けられていて、契約が更新されなければ雇用契約期間が満了します。
しかし無期転換ルールが施行されたことで、有期労働の契約期間が設けられていた非正規雇用であっても、長期的な雇用が保証されるようになりました。
■契約期間が1年の場合
5回目の更新後に無期転換の申し込みが可能になり、6回目更新以降は無期雇用労働者になります。
■契約期間が3年の場合
1回目の更新後に無期転換の申し込みが可能になり、2回目更新以降は無期雇用労働者になります。
無期雇用になると契約更新がなくなり、原則クビにならない限り働けます。
とはいえ無期雇用=正社員というわけではなく、無期転換ルールによって雇用形態が変化することはありません。
正社員と非正社員のメリット・デメリット
正社員は給与面や待遇面で優れているように思われますが、正社員だからこそのデメリットもあるのです。
安定を求めている人にとって正社員は魅力的でしょう。
しかし雇用形態別のメリット・デメリットをよく理解し、ライフスタイルに合う働き方を選択することが重要です。
正社員のメリット・デメリット
【メリット】
・雇用契約の締結時から雇用期間が無期限
・福利厚生が充実している
・賞与(ボーナス)や退職金が貰える
【デメリット】
・転勤または転属の可能性がある
・基本的にフルタイム勤務
他の雇用形態に比べてもっとも安定しているのは確かに正社員。
しかし企業によっては転勤を余儀なくされることもあり、部署の入れ替えなども起こり得ます。
またフルタイム勤務は、子育てなどで急な休みが発生する人にとってはネックでしょう。
非正社員のメリット・デメリット
【メリット】
・働く日数や時間を調整しやすい
・Wワーク(兼業)できる
・転勤がない
【デメリット】
・時給制だと勤務時間によっては給与が少ない
・賞与や退職金が貰えない
・雇用契約の締結時には雇用期間が有限
子育てや家事を優先させたい、複数の仕事を掛け持ちしたいという場合には、非正社員の働き方が向いている可能性があります。
ただ、働き方改革が進んでいるとはいえ、まだまだ正社員との格差は十分に埋められていません。
企業の詳細をしっかり確認した上で働くことが大切です。